WordPressでWEBサイトやブログを作成する事になった際はWEBサイトの置き場となるサーバーが必要になります。
自分で構築することも可能ですが、専門知識が必要となり、セキュリティ対策などもすべて自分自身で行わなければいけないため、トラブル対策やサポートも充実しているレンタルサーバーを契約することをおすすめします。
初心者の方ですと、ほとんどの方が値段だけを見て、安いレンタルサーバーを選んでしまいがちです。しかし、安易に値段だけで選ぶのはおすすめしません。
WordPressは構造上、サーバーに大きな負荷がかかるようになっています。
そのため、適さないサーバーを使用してしまうと、WEBサイトの表示スピードが著しく低下してしまったり、SNSで拡散されアクセスが大きく集まった際にサーバーがダウンしてしまうなど、様々な問題が発生してしまいます。
もしこれから、WordPressを使用して、WEBサイトやブログを運用し、集客を行って行きたいのであれば、性能や処理速度、容量など、運用するWEBサイトにあったレンタルサーバーを選ぶことが重要です。
そこで今回は、安心してWordPressを使ったウェブサイトを運用できるサーバーの3つの条件と、個人の方がWordPressを使用する際におすすめのレンタルサーバーをご紹介いたします。
WordPressに適切なサーバーの3つの条件
WordPressに適したサーバーの3つの条件は以下です。
- PHP の処理速度の早さ
- メモリ容量が大きさ
- データ転送量の上限の多さ
こちらの3つの条件が重要な理由、またそれぞれ適したサーバーをご紹介します。
PHPの処理速度が速いサーバーとは
WordPressはPHPと言うプログラミング言語で作成されたCMS(コンテンツ管理システム)です。
そのため、PHPやMySQL(データベース管理システム)の処理速度が速いサーバーを使用することでサイトの表示速度を早くすることができます。
サーバーごとにPHPの処理速度は異なるため、サーバーを選ぶ際はPHPの処理速度を確認することが重要です。
レンタルサーバー | CPU | クロック数 | コア数/ スレッド数 | PHP処理数/秒 |
ヘテムル | Xeon E5620 | 2.40GHz | 4コア/ 8スレッド | 17.21 |
さくらサーバー (スタンダード) | Xeon E312xx | 2.40GHz | 4コア/ 4スレッド | 11.10 |
エックスサーバー (X10) | Xeon E5-2430L | 2.00GHz | 6コア/ 12スレッド | 22.50 |
エックスツー (スタンダード) | Xeon E5-2430L | 2.00GHz | 6コア/ 12スレッド | 22.83 |
バリューサーバー (スタンダード) | Xeon E5-2670 | 2.60GHz | 8コア/ 16スレッド | 18.48 |
コアサーバー (CORE-A) | Xeon L3110 | 3.00GHz | 2コア/ 2スレッド | 6.95 |
コアサーバー (CORE-C) | Xeon L3360 | 2.83GHz | 4コア/ 4スレッド | 15.39 |
コアブログ | Xeon L3110 | 3.00GHz | 2コア/ 2スレッド | 6.82 |
ミニバード | Xeon L3426 | 1.87GHz | 4コア/ 8スレッド | 18.15 |
ファイアバード | Xeon L3426 | 1.87GHz | 4コア/8スレッド | 19.86 |
クローバー | Xeon L3426 | 1.87GHz | 4コア/ 8スレッド | 22.38 |
注:5回計測のうちの平均値
比較してみると、サーバーごとにPHPの処理速度には大きな差があることがわかります。
とりわけ、エックスサーバーとエックスツー(スタンダード)、クローバーの処理速度が速いことがわかります。
メモリ容量が大きいサーバーはどこのサーバーか
続いてメモリの容量も確認しておきたい要素の一つです。もし、サーバーの負荷が一時的に、メモリ容量の許容範囲より大きくなってしまうと、サイトの表示速度が極端に遅くなります。
そして最悪の場合は、下図のようにサーバーダウンに至ってしまいます。
サーバーダウンが起きると、非常に大きな損失になってしまうためメモリ容量は把握しておく必要があります。
WordPressに必要なメモリの容量はいくらか
WordPress を置くレンタルサーバーのメモリ容量は16GB必要であると考えられています。
下記は、弊社クライアントのサイトを集計したものです。それぞれのサイト規模ごとのリアルタイムアクセス数と常時メモり使用量はおおよそ下記のようになると考えられます。
サイト規模 | リアルタイム アクセス数 |
常時メモリ使用量 |
月10万PV | 10 | 0.05GB |
月30万PV | 30 | 0.15GB |
月50万PV | 50 | 0.35GB |
月100万PV | 130 | 0.65GB |
※ WordPress の1記事あたりのダウンロードサイズを5MBと想定しています。これは弊社1記事あたりのデータ量が約2MBであることを元にし、さらにプログラム処理とデータベース処理のデータサイズを合わせた概算値です。
これだけ見ると、メモリ容量はそこまで必要ないような印象がありますが、以下のようなケースが考えられます。
例えば、月10万PV規模のWEBサイトを運営しているとして、Yahooのトップページに記事が引用された後SNS等のソーシャルメディアで拡散され、リアルタイムで1000ユーザー以上のアクセスが集中したとする。すると、あなたのWEBサイトだけでメモリ使用量は5GBを超えると考えられます。
さらに、サーバーのシステムによって常に使用されるメモリ領域が1GBで、他の複数のサーバー利用者によって常時4GBのメモリが使用されている状態だとします。
この場合、メモリ使用量は10GBを超えてしまいます。
数値を多めに見積っていますが、あなたが真剣にコンテンツマーケティングに取り組み、良質なコンテンツを作り続けていると月間数十万、数百万PVはすぐに達し、あなたのコンテンツが拡散され一時的にリアルタイムユーザー数が1000を超えることも往々にしてあり得る話なのです。
以上のことから、使用するサーバーのメモリ容量は【16GB】以上必要だと考えられます。
各サーバー会社のメモリ容量比較
各サーバーのメモリ容量は以下となります。
レンタルサーバー名 | メモリ数 |
ヘテムル | 16GB |
さくらサーバー(スタンダード) | 18GB |
エックスサーバー(X10) | 24GB |
エックスツー(スタンダード) | 16GB |
バリューサーバー(スタンダード) | 10GB |
コアサーバー(CORE-A) | 4GB |
コアサーバー(CORE-C) | 8GB |
コアブログ | 4GB |
ミニバード | 16GB |
ファイアーバード | 16GB |
クローバー | 12GB |
PHPの処理速度が早いエックスサーバー系列の2つは16GBを超えています。 一方、クローバーは12GBのため不安があります。メモリ数が安定しているエックスサーバー及びエックスツーが安心だと思われます。
各サーバーのデータ転送量の上限
そもそもデータ転送量とはなんでしょうか。
データ転送量とは、
サイトを閲覧した際、ユーザー(訪問者)が使用しているブラウザ(Safari、chromeなど)へ、サイトがあるサーバーから転送(ダウンロード)されたファイル(画像や動画データなどのウェブを構成するファイル)のデータの量のことを示します。
つまり、サイトを構成するデータといえます。
一般的に親しまれているレンタルサーバーは、データ転送量に一定の上限が設けられており、上限量をこえるとサイトを読み込む速度が著しく下がってしまいます。なかなか開かないばかりか、途中で読み込みが止まることもあり、一般的にはサイトが重たいといった表現が浸透しています。
さらに詳しく見ていきましょう。
WordPressで必要なデータ転送量
毎月のデータ転送量はどの程度必要なのでしょうか。
あるクライアントのサイトを例に見てみると、6ヶ月で月間50万 PV ほどに到達したサイトのデータ転送量の計測値は、1日平均で約20GBを超えるデータ転送量でした。
100万PVというととてつもない数字に感じる方もいらっしゃると思いますが、日々真剣に取り組み、良質なコンテンツを作り続けていれば、月間で100万PVは近い目標として設定しても比較的簡単に達成可能です。
仮にこのサイトが仮に月間100万PVあるとして、一日のデータ転送量を単純計算すると、転送量は40GBを超えていくと推測されます。そのため、月間100万PVまでは耐えられる40GB以上の転送量上限があるレンタルサーバーを利用しましょう。
各サーバーごとの上限データ転送量を比較
レンタルサーバー名 | 転送量/日 |
ヘテムル | 60GB |
さくらサーバー(スタンダード) | 80GB |
エックスサーバー(X10) | 50GB |
エックスツー(スタンダード) | 50GB |
バリューサーバー(スタンダード) | 10GB |
コアサーバー(CORE-A) | 8.3GB |
コアサーバー(CORE-C) | 33.3GB |
コアブログ | 1GB |
ミニバード | 5GB |
ファイアーバード | 10GB |
クローバー | 33.3GB |
一覧にして比較してみてみると差がよくわかると思います。個人でブログ書くだけであっても、件数が増えていったり、画像や動画などを掲載していくとあっという間に上限がきてしまうことも。
さて、今回定義した
・100万PV を達成する時に必要とされる40GBのデータ転送量に耐えられる
という条件を満たすものは
エックスサーバーとエックスツーの2つになります。
この2つのみ1日のデータ転送量の上限が50GBとなっているため、月間100万PVがあるサイトでも安心して利用できます。
ちなみにサーバーの中には転送量に上限を設けていないサーバー会社もありますが、よく確認してみると、アクセスしづらくなる可能性があると注記されていたり自動課金になるなど何かしらの制限があることが多いです。
データ転送量を確認はレンタルサーバーによって異なりますが、ほとんどの場合は管理画面から確認できます。もちろん、サーバー会社に問い合わせて確認もできますので事前に必ず確認しましょう。
WordPress におすすめのサーバーは?
さて結局どのサーバーがおすすめなのか。
これまで解説してきたサーバーの様々なスペックを一覧にしてまとめました。
レンタルサーバー名 | 月額費用 | PHP処理数/秒 | メモリ | 転送量/日 |
ヘテムル | 1620円 | 17.21 | 16GB | 60GB |
さくらサーバー(スタンダード) | 515円 | 11.10 | 18GB | 80GB |
エックスサーバー(x10) | 1080円 | 22.50 | 24GB | 50GB |
エックスツー(スタンダード) | 1944円 | 22.83 | 16GB | 50GB |
バリューサーバー(スタンダード) | 360円 | 18.48 | 10GB | 10GB |
コアサーバー(CORE-A) | 428円 | 6.95 | 4GB | 8.3GB |
コアサーバー(CORE-C) | 3420円 | 15.39 | 8GB | 33.3GB |
コアブログ | 103円 | 6.82 | 4GB | 1GB |
ミニバード | 270円 | 18.15 | 16GB | 5GB |
ファイアバード | 540円 | 19.86 | 16GB | 10GB |
クローバー | 1620円 | 22.38 | 12GB | 33.3GB |
今回の条件を全て満たしていたのは、エックスサーバーとエックスツーの2つになります。
実際に試してみたところ、この2つは使い勝手も非常によかったです。
この2つのサーバーの特徴をもう少し詳しくみていきましょう。
エックスサーバー(x10)
まずはエックスサーバー(x10)です。
スペックと料金をまとめました。
レンタルサーバー | PHP処理数/秒 | メモリ | 転送量/日 |
エックスサーバー(x10) | 22.50 | 24GB | 50GB |
契約期間 | ご利用料金 | 合計 |
1ヶ月 | 1,000円×1ヶ月 | 1,000円(税込1,080円) |
3ヶ月 | 1,200円×3ヶ月 | 3,600円(税込3,888円) |
6ヶ月 | 1,100円×6ヶ月 | 6,600円(税込7,128円) |
12ヶ月 | 1,000円×12ヶ月 | 12,000円(税込12,960円) |
24ヶ月 | 950円×24ヶ月 | 22,800円(税込24,624円) |
36ヶ月 | 900円×36ヶ月 | 32,400円(税込34,992円 |
前述した通り、今回の条件を全て満たしていますね。
- サーバーの処理速度は他のサーバーよりも高い。
- サーバーのメモリ容量は24GBと、必要な16GBを超えている。
- データ転送量上限が50GBに設定されているので、月のPVが100万程度の規模のサイトでも耐えられるデータ転送量基準40GBをクリア
利用料金も次にオススメしているエックスツー(スタンダード)よりも安価になっているので、初めての方にはおすすめのサーバーです。
エックスツー(スタンダード)
レンタルサーバー | PHP処理数/秒 | メモリ | 転送量/日 |
エックスツー (スタンダード) | 22.83 | 16GB | 50GB |
契約期間 | ご利用料金 | 合計 |
3ヶ月 | 2.372円×3ヶ月 | 7,116円(税込7,683円) |
6ヶ月 | 2,086円×6ヶ月 | 12,516円(税込13,512円) |
12ヶ月 | 1,800円×12ヶ月 | 21,600円(税込23,328円) |
こちらも前述したように、今回の条件を満たしています。
- サーバーの処理速度は他のサーバーよりも高い。
- サーバーのメモリ容量が16GBと、必要な16GBをちょうど超えている。
- データ転送量上限が50GBなので月間100万PVでも耐えられると推測されるデータ転送量40GBをクリア
利用料金はエックスサーバー(x10)と比較すると若干高めに設定されていますが、利用をおすすめできるサーバーです。
まとめ
いかがだったでしょうか。
サーバーを選択する際は、以下の3点に気をつけて選んでみましょう。
- PHP の処理速度
- メモリ容量
- データ転送量の上限
今回解説したおすすめのサーバーは自信を持っておすすめできますが、用途によっては必ずしも適しているわけではないので、事前の確認にぜひ参考にしてみてください。
この記事を書いた人
はるかさとう
楽天EC/デザイン/コーディング 最近switchのゲームに時間吸われてます