旅田です。
最近はデザイン業務よりも営業に費やす時間が長く、必然的にメールやチャットなどの文章をしたためることが多くなっています。
また、ビジネスメールが不慣れな新卒メンバーなどから文章のフィードバックを求められる機会も増えました。
そこで今回、ビジネスメールを一日2万通くらいやり取りしている私が使っているテクニックを一挙にご紹介しようと思います。
この記事を読んでいただければ、
- ビジネスメールの書き方がわからない
- より良いビジネスメールを書きたい
- そもそも文章を書くのが苦手だ
といったビジネスメールに関するお悩みがまるっと解決できます!
そのくらい気合いを入れたボリューミーな内容となっておりますので、最後までお付き合いいただければ幸いです。
ビジネスメールを書く前に
今回はビジネスメールにおけるテクニックを紹介していきますが、「本文の最初には必ず宛名を書く」といった基本中の基本は省略します。
そういった知恵はGoogle先生がいつでも答えてくれそうだからです。
それより本質的で重要なビジネスメールの目的を最短で達成するための技をビシバシ繰り出していきたいのです。
ビジネスメールの目的
ビジネスメールはビジネスにおけるコミュニケーションのひとつですから、当然ながらそれぞれに目的があります。
ビジネスメールの目的は様々ですが、例えば
- 相手の意見が欲しい
- 情報共有がしたい
- 決裁を仰ぎたい
などといったものがありますよね。
そして「ビジネスメールを極める」ということは、その目的を最短距離で達成できるということです。
なので、今回はそのための技を紹介していきます。
ここで重要な点が「目的は1通につき1つ」ということです。
最初は意見をもらおうと上司に宛てて書き出したメールが、脇道に逸れて別の情報を共有していたり、かと思えば最終的に決裁を仰ぐ形で結ばれていたとしたら、上司としても返答に困ります。
結果的に目的達成が遠回りになってしまうため、ビジネスメールを書く際には、まず「このメールの目的は●●だ」の●●にあたるものを設定し、それが徹頭徹尾ずれないように書き切ることを念頭に置きましょう。
タイピングを極めておく
タイピング練習ゲームといえば、今も昔も『寿司打(すしだ)』ですよね!
私も久しぶりにテストしてみたら「高級コース」で1万5千円くらいのスコアでした。
しかし、こんな私も新卒の頃はタイピングもかなり遅かったですし、そもそもブラインドタッチすらできていなかったように記憶しています。
しばらくは自己流の打ち方で仕事をしていましたが、それでも多少は速くなりましたし、ブラインドタッチもできるようにはなっていました。
ただ、問題は打ちミスの多さでした。結局はこれが仕事効率に最悪の影響を及ぼしていました。
あれから数年後に「これじゃいかん」と思い立ち、意識してタイピングを練習したところ、せいぜい1ヶ月程度で上記のスコアまで伸びていきました。
具体的には次のステップで段階的な改善をしていきました。
- ホームポジションを体(両手)で覚える
- 打ちミスをしてもキーボードを見ずに修正する
- 寿司打を楽しむ
ここで私が言いたかったのは、タイピングは練習さえすればある程度は速くなるということです。
「競技タイピングで全国レベルを目指す」のなら話は別ですが、いちビジネスパーソンとしてやっていくためであれば誰でもできます。
たった1ヶ月の練習で一生モノのリターンを得ることができるので、非常にコスパのよいスキルと言えるでしょう。
辞書登録機能を活用する
辞書登録機能はビジネスパーソンとは切っても切れない強力なサポーターです。
前述の通り、タイピングを速くする努力は必須ですが、合わせて辞書登録機能を活用することで、そもそもタイピングする文字数を減らすことができちゃいます。
野球のホームランバッターで例えるならば、タイピングスキルの向上が素振りによる筋力アップ、辞書登録機能はバットの性能アップです。
一例ですが、私は自分のMacbookで「お」と打てば「お世話になっております。レジット 旅田です。」という変換候補が一番上に出てきます。
これだけで20文字くらい省略できますよね。
また、速度向上だけでなく、変換ミスという稚拙な失敗も事前に防いでくれますので、
- 定型の挨拶文
- 得意先の担当者名
- 得意先のサービス名
などは、気が付いたときに積極登録していきましょう!
【永久保存版】ビジネスメール技 14選
ここから本題です。
ビジネスメールを作る際に意識すべきテクニックを14種類、ばんばん紹介していきます。
おおよそ難易度順に並べたつもりですが、特に意味はないので、ひとまずすべてに目を通していただけたらよいでしょう。
また、各項目の最後には改善事例もご紹介します。
注意点としては、これらはあくまで私といういち個人の意見であり、とても主観的である点です。
ご覧いただいた方の感性によって「これは間違っている」と指摘したくなるような部分もあるかと思います。
ただ、敬愛するマコなり社長もたびたび仰っていますが、「誰しもが納得する当たり障りのない意見ばかり発信しても意味がない」という理念に激しく共感している私も、今回は全力で主観を押し付けていきます!
ぜひ、「なるほど、こういう考えもあるのか」といった前向きな捉え方でご容赦いただけると幸いです。
目的を件名に入れる
これはマコなり社長も動画内で仰っていましたね。
メールを開く手間さえも相手の時間を奪う迷惑行為と捉えるならば、件名の時点で意図が伝わるようにする心遣いが大切です。
とはいえ、件名が長くなっては元も子もないので、文頭にスミカッコ【】を使いましょう!
ちなみにマコなり社長のYouTube動画では、【相談】【共有】【連絡】【依頼】【決済】【御礼】のいずれかを使えと仰っています。
なるほど、使用するパターンを決めておけば、より意思決定の時間が節約できそうですね。
ただ、私個人としては【共有】と【連絡】の違いが明確じゃないなど、簡略化し過ぎているがゆえの落とし穴もあるように感じました。
なので私の場合、具体的なアクションが想起できるような内容を都度記載するよう心がけています。
今、直近のメールを確認したところ、【依頼】【共有】【報告】【御礼】【日程調整】【請求書在中】【近況確認】などを使っていました。
都度記載とはいえ、結局いつも使うものはパターン化してくるので、「これだけ使っておけ!」というところまで縛らなくても作業効率はそこまで悪くならないという所感です。
改善前 | LP制作に関するお打ち合わせの日程について |
改善後 | 【日程調整】LP制作に関するご相談の件 |
基本は結論ファースト
「結論ファーストってナニ?」という方は、過去の記事をご一読ください。
こちらの記事でも、
- 意思疎通が早く正確になる(速度⤴︎)
- 思考の遠回りをする無駄がなくなる(労力⤵︎)
- 目的が明確でハッキリした人柄に見られる(印象⤴︎)
といったメリットを紹介していますが、この通り意思疎通がしやすくなるので、ビジネスメールでも基本は結論から書くようにしましょう。
結論ファーストの方法論も、ぜひ記事の方でご確認ください。
改善前 | マンハッタンゴールドも良いと思いますが、すぐに飽きられることも多かったというデータも過去にありましたので、私はシャイニングダイヤモンドが良いと思います。 |
改善後 |
結論から申しますと、私はシャイニングダイヤモンドが良いと思います。 |
主語や目的語は略さない
日本語とは、そもそも主語がなくても成り立つ言語です。
だからといってビジネスメールでも主語を省略してもいいかといえば、それは間違いでしょう。
重要な取り決めにもかかわらず認識の齟齬が起きかねないためです。
どう考えても明らかに主語が一意に決定できる状況でなければ、略さず行きましょう。
余談ですが、最近『ゆる言語ラジオ』というYouTubeチャンネルにはまっています。
文章というよりも日本語全般についてかなりマニアックに語られているチャンネルですので、より深く追求したい方にはおすすめです。笑
改善前 | 次回の定例会にて、ご報告いたします。 |
改善後 | 次回の定例会では、コンサルタントの山田から、SEOの内部施策についてご報告いたします。 |
議題の数はできるだけ減らす
ビジネスメール(というより文章全般)の難しいポイントは、手短に複数の議題を伝えることが苦手な点です。
口頭であれば、相手の仕草や表情といった言外の情報もあるため、必要に応じて補足や復唱することができます。
しかし文章は、そもそも相手の読む姿勢や読解力に委ねられる部分も多いため、大前提として「相手が誰であれ伝わるようなわかりやすい文章を一発で書き上げるぞ!」という気概が必要となります。
そうなると、仮に伝えたい議題が3つある場合、あの手この手でその3つの議題をわかりやすくなるように推敲するわけですが、ここで言いたいのは「そもそも1つに絞る勇気も必要だぞ」ということです。
「いや、そんなのだめだよ。3つは3つなんだから」と思われるかもしれませんが、それは別の方法で解決できる問題かもしれません。
相手に催促の連絡をするシーンを例とします。
頻繁にメールのやり取りがあり、いつも手短に即レスが来るような相手であれば、ひとつひとつの議題をクリアしていけるよう、メールの往復回数を増やす方針もありだと思います。
また、その他には、3つのうち確実に返答が欲しい議題をはじめにしっかりと記載し、より緊急性の低い議題をオマケ的に記載しておくのもよいでしょう。
本章で重要なのは、複数の議題をみっちり記載した結果、それぞれの回答がうまく得られない「二兎を追うもの状態」を回避することにあります。
ぜひ、ビジネスメールにおいても選択と集中を意識しましょう。
改善前 |
来週から着工予定のLP制作において、詳細なスケジュールが確定しました。 8月2日(月) 構成 着手 以上です。 続いて、本日はドメイン取得とレンタルサーバー契約も予定通り進捗しておりますので、進捗状況について、下記の通りご報告いたします。 |
改善後 |
来週から着工予定のLP制作において、詳細なスケジュールが確定しました。 8月2日(月) 構成 着手 以上です。 なお、ドメイン取得などの件も予定通り進捗しておりますので、週明けの完了時にご報告いたします。 |
正しい文法を使う
当たり前のことですが、日本語は正しく使いましょう。
とはいえ、たとえ日本人であっても、すべての文法を完璧に使いこなしている方って少ないんじゃないでしょうか。私も含め、です。
なので、重要なのは都度検索で語彙力を養うことです。
- この文法、気になるな
- この言い回し、合ってるかな
- この表現、言い換えられないかな
こう思うタイミングがあれば「0.1秒」でググりましょう。
特に表現の言い換えをしたくなるシーンというのは多いと思います。
そういうときには、言い換えたい単語に「類語」と付け足してググってみましょう。
また、ブラウザにもよりますが、意味を知りたい単語がある場合、その文字列を選択して右クリックメニューを開くと「Googleで検索」があるので、これも使い倒しましょう。
なお、語彙力に関しては過去に記事も書いていますので、こちらもチェックしていただければよいでしょう。
改善前 | 日本語は当たり前かもですがちゃんとしましょう。 |
改善後 | 当たり前のことですが、日本語は正しく使いましょう。 |
正しい敬語を使う
敬語についても、都度調べながら正しい使い方を学んでいきたいところです。
文法同様、偉そうにお伝えしている私でも100% 正しい敬語を使えている自信はないものの、常に完璧を追求し続けたい分野ではありますよね。
さて、敬語と言っても奥が深いですから、今回は敬語における間違いやすいポイントを3つだけご紹介させていただきます。
敬語の種類の混同
そもそも敬語には次の5種類があります。
- 尊敬語
- 謙譲語
- 丁重語(旧・謙譲語に分類)
- 丁寧語
- 美化語(旧・丁寧語に分類)
(ちなみに、1990年生まれの私は最近まで3種類だと思っていましたが、どうやら2007年頃に教科書が変わったそうです。)
ここでは思い切って尊敬語と謙譲語にのみ焦点を絞ります。
小学生のとき、敬語で重要なのは「主体が誰か」と教わったことと思います。
尊敬語の主体は相手、謙譲語の主体は自分、というお話です。
今、重要なのは「それが尊敬語か、謙譲語か」という観点です。
大人になって久しい私などは、小学生時分では知らなかった敬語表現にもたくさん触れているでしょうから、こればかりはその都度、知識としてインプットしていく必要があります。
敬体と常体の混用
よくあるのは敬体の「デス・マス調」の文章に「ダ・デアル調」の文章が混ざっているものです。
凝ったテクニックをあえて使っている文筆家でもない限り、敬体・常体の無意味な混用はテンポが悪くなるなどのデメリットがあり、NGとされています。
二重敬語
既に敬語である言葉にもかかわらず、さらに敬語を重ねて使うことを二重敬語といいます。
よくあるのが、「仰る」「ご覧になる」といった【お(ご)~る】系の尊敬語に「れる」「られる」といった尊敬語を重ねたものです。
- 「ご連絡させていただきました。」
- 「契約書はお読みになられましたか。」
- 「A社の山田さんがお見えになられました。」
これらはいずれも二重敬語なので、ぜひ文章を分解しながら、正しい敬語表現を考えてみてください。
たかが敬語、されど敬語ですから、「これは尊敬語かな?」「この敬語は合ってるかな?」など、常にググりながらインプットしていければよいでしょう。
改善前 | 「ご連絡させていただきました。」 「契約書はお読みになられましたか。」 「A社の山田さんがお見えになられました。」 |
改善後 | 「ご連絡いたしました。」 「契約書はお読みになりましたか。」 「A社の山田さんがいらっしゃいました。」 |
改行・空行を効果的に使う
ビジネスメールにしろ小説にしろ、一行に記述できる文字数には上限がある以上、どこかで二行目に折り返されてしまい、そのまま改行せずにいるととんでもなく読みづらい文字の羅列ができあがってしまいます。いまあなたが読んでいるこの文章も、あえて改行せずに書き続けているため、きっと読みづらいでしょう。読みづらいので、重要な要件を見逃しやすくなるばかりか、眼精疲労の原因にさえなってしまいます。
上記のような文章のことをマコなり社長も「文字壁」と揶揄していますが、こんな一面文字だらけのメールを送ってしまったら、まず一緒に仕事したいとは思われないでしょう。
改行は適度に取り入れ、読みやすい文章を意識しましょう。
また、空行とは「何も入力されていない行」のことです。
空行は前後の文字の塊を分かつので、こちらも適度に用いることで、読みやすさを格段に上げることができます。
空行の例として、私の大好きな川原泉先生の漫画から長台詞の部分を引用してみました。
もはや単なる点取り競争ではないわ
ゲシュタルト・チェンジしなさい藤枝さん
わたしはね
ややもすれば現存在としての自己を見失いがちな受験戦争の只中にあって
相互の存在を認識することによって自己の自己たるアイデンティティを確立したいのよ
現代社会が主体であり しかも盲目的主体である以上
同一性を基準にした場合 理性の自律性が必要なんだわ引用:川原泉著『フロイト1/2』(白泉社文庫)130頁1-2コマ目
主人公のライバルで成績が学年トップの堤杏子が、賢すぎるがゆえにわかりにくい発言をしていますね。
漫画の台詞には句読点がないため、改行や空白は便宜的に使っていますが、それを加味しても読みづらいです。
こちらの文章に空行を入れると、下記のようになります。
もはや単なる点取り競争ではないわ
ゲシュタルト・チェンジしなさい藤枝さん
わたしはね
ややもすれば現存在としての自己を見失いがちな受験戦争の只中にあって
相互の存在を認識することによって自己の自己たるアイデンティティを確立したいのよ
現代社会が主体であり しかも盲目的主体である以上
同一性を基準にした場合 理性の自律性が必要なんだわ
上記、いくらか読みやすくなったのではないでしょうか。
このように、空行は文章に一息付けるような時間的余白を与えてくれるので、読み手が心地よく読むためのリズム感を演出できます。
また、上の改善例文でいう「わたしはね」などは、直後の改行とも相まって非常に目に留まりやすくなっていますよね。
この「改行+空行」で目立ちやすくなる効果を利用して小見出しを際立たせることで、より読みやすい文章になります。
ビジネスメール全体に言えますが、ぜひ相手にとっての読みやすさを追求するホスピタリティを大切にしましょう。
改善前 |
もはや単なる点取り競争ではないわ |
改善後 |
もはや単なる点取り競争ではないわ
わたしはね(以下略) |
小見出しを目立たせる
文章を書くときは必ず文章構造を意識すべきですが、見出しはその構造を成り立たせる最たるものです。
いまあなたが読んでいるこの記事にも見出しがいくつもありますが、これがあるからこそ読みたい部分をすぐに見つけることができ、読解の助けにもなっているはずです。
そしてこれはビジネスメールでも同じで、もし文章が長くなってしまいそうであれば、必ずアイキャッチとなる小見出しを目立つ形で書き記しておくとよいでしょう。
「目立つ」とひと口に言っても手段はいくつかあるのですが、
- 文字色を付ける
- 背景色を付ける
- 太文字にする
- 文字を大きくする
- 行間を広めにとる
などが挙げられます。
スマホが普及している昨今、プレーンテキスト(文字装飾などのない文字データ)しか閲覧できないというシチュエーションは限りなく減っているので、文字を装飾するリッチテキストで攻めていきましょう。
改善前 |
これから「あ」と「い」についてご説明します。 あああああああああああああああああ、 いいいいいいいいいいいいいいいいい、 |
改善後 |
これから「あ」と「い」についてご説明します。 「あ」について 「い」について |
文章のルールを統一する
やや抽象的なタイトルですが、あえてキャッチーに言い換えれば「初志貫徹せよ」です。
例えば、私たちは小学生の頃、作文のルールとして、
- 文頭は1字下げる
- 常体・敬体は混用しない
- 一文に主語を複数入れない
といった基本ルールを教わっています。
ビジネスメールにおいても、これらの基本は当然守りつつ、その他の自分ルールも最初から最後までブレずに守りましょう。
- 小見出しに黄色マーカーを使うなら、すべてに対して使う
- 固有名詞を『』で囲うなら、すべてに対して囲う
- 箇条書きを使うなら、すべて同じ文章構造にする
などということです。
箇条書きの例は、まさに上記の3点が良い例となっています。
「Aするなら、Bする」という文章構造で統一されているので、読みやすく整っており、理解するための手助けにさえなっています。
こうした文章ルールの統一は非常にシンプルですが、以外とブレる場合があるので紹介しました。
ぜひ、すべての文章でルールを意識してみましょう。
改善前 |
株式会社たびちゃんの新サービス、タビチャンでは、【早い】「安い」(きれい)なランドリー機能を提供します。 |
改善後 | 株式会社たびちゃんの新サービス『タビチャン』では、「早い」「安い」「きれい」なランドリー機能を提供します。 |
アクションを促す
《目的を件名に入れる》の章でも触れている通り、どんなビジネスメールにも目的はありますから、まずは件名にスミカッコで記載するようにしましょう。
【依頼】【共有】【報告】【御礼】【日程調整】【請求書在中】【近況確認】などといったやつですね。
今回はこちらと合わせ、設定した目的を達成するためのアクションを本文にも添えるようにしましょう。
例えば、【依頼】であれば文末を「ご対応のほどよろしくお願いいたします。」としたり、【日程調整】などであれば「●月●日までに、ご都合のよろしいお日にち・お時間帯をご連絡ください。」などと具体化して伝えるとよいでしょう。
ちなみに、具体的な回答期限を伝えることは、それだけで相手にとって返答しやすい依頼となります。
また、そのアクションの目的を伝えることも、受け取り手の動機づけとなるため、同様に回答を得やすくなります。
しかるべき回答をスムーズに得られるよう、アクションの促しを意識しましょう。
改善前 | 本件、ご確認のほどよろしくお願いいたします。 |
改善後 |
本件、8/20(金) 17時には必ずご返答ください。 |
定型文と自由文を使い分ける
突然ですが、質問です。
あなたはビジネスメールで「定型文」を使っていますか?
もし、どんな相手に対しても同じ定型文を使っているとしたら、それは考えを改めた方がよいでしょう。
例えば、よくある定型文として、「お世話になっております。〇〇です。」といった冒頭の挨拶があります。
(そもそも今の時代、こんな非効率的で悪しき慣習なんか取り入れてないぜ、という方は読み飛ばしていただくとして、)こうしたビジネスメールにおける挨拶の文化はまだまだ根強く、営業担当としては、初めてやり取りするお客さまに対して定型的な挨拶も必要だと感じています。
しかし本章でお伝えしたことは、この「お世話になっております。レジット 旅田です。」のいかにもテンプレート的な文面をあえて崩すことで生まれる「よい印象」を、意識的に使おうということです。
例は変わりますが、会社には「営業メール」というものが無限に届きますよね。
様々な営業会社から届く営業トークをたくさん眺めていると、そのほとんどが「これはいかにもテンプレだな」ということが経験上、わかってきます。
その中にふと、「え、これってうちの会社のためだけに送られている?」というくらい、巧妙な文面もありますが、それはテンプレート臭を限りなく取り除いた、オリジナリティの高い内容になっている場合が多いです。
どんな人でも、それが「自分のためだけにある」という特別扱いには好印象を抱くものです。
(ちなみに、こうした一人ひとりに最適化する方法を、経営学用語では『ワントゥワンマーケティング』と言います。)
時短のための「お世話になっております。〇〇です。」という定型文も、プライオリティの高さに応じて最適化することで、さり気ない好印象を演出しましょう。
改善前 | お世話になっております。レジット 旅田です。 |
改善後 | いつもご贔屓にしてくださって誠にありがとうございます。旅田でございます。 |
言葉のカドを取る
こちらは抽象度の高いテーマですが、私も過去の複数の上司によく指摘されていた部分でもあります。
ビジネスメールのデメリットのひとつに感情の伝えにくさというものがあります。
淡々とした物言いになるため、相手の性格によっては「あれ、この人ちょっと怒ってる?」などと思われかねない、アレですね。
私は元々、文面も堅ければ顔も無表情になりがちだったので、これまで2万人くらいのメール相手を恐怖のどん底に落とし続けてきたように思います。
「ビジネスメールなんだから、堅い感じになっても良くない?」と思われた方は、それも決して間違いではないと思います。というか、むしろその方が世間一般の常識だと思います。
ただ、ビジネスが様々あるように、会社やお客さんにも様々なかたちのコミュニケーションが存在することは間違いなく、常に淡々とした文面のビジネスメールしか作れないというのは球種が135km/hのストレートしかないパワプロのピッチャーくらい不利な状態と言えるでしょう。
さて、冷たい印象の文章になってしまうことに対する対策方法としては、そもそも電話による声色込みのコミュニケーションを取るのが最も有効ではありますが、メールでの戦いに限るのであれば次の2点が効果的でしょう。
フランクさを出す
平たく言えば「!」や「?」を使っても違和感のないキャラクターを演じる、ということです。結局、これが最強です。
とはいえ、取引先が堅い雰囲気だったりすると、この手は使えないですよね。
フランクさというのは、言い換えると「お道化(おどけ)」ですから、それに通じるコミュニケーションを意識すればいいです。
具体的には、相手をよく褒めたり、どんなご相談でも任せてくださいといった安心感のある一言を添えたりするとよいでしょう。
語弊を恐れずにあえて言いますが、「クールな猫」ではなく「アホな犬」のイメージで、フランクな雰囲気を演出しましょう!
定性的な言い回しをする
お道化に通じる部分ですが、あえて「〜と思います」や「雰囲気としては〜」といった定性的な言い回しも便利です。
定性的というのは主観的であることとニュアンスが近く、客観的なデータを元に定量的な情報のやり取りがビジネスコミュニケーションの基本とするならば、あえてそれを外れることで、やはりフランクなニュアンスを文章にもたせることができます。
本項目は、そもそも普段から客観的で定量的な報連相がしっかりできている前提で活かせるものです。
ゆえに「もはやビジネスメールのアドバイスとちゃうやないか」と思われるかもしれませんが、ビジネスメール自体の定義はあってないようなものです。
前章でも述べた通り、様々な状況に応じたコミュニケーションを体得しておいて損はないでしょう。
改善前 | A案については20%の売上改善があり、同10%改善のB案より優れていると言えます。 |
改善後 |
A案については20%の売上改善があり、同10%改善のB案より優れていると言えます。 |
ハードルを下げて差し上げる
ここでいうハードルとはメール返信のしやすさのことです。
つまり、相手から返答をもらいたいシーンにおいて「いかに返信しやすい文面にするか?」に全力を注ぐべしということです。
例えば、正しい日本語や丁寧な言い回しを意識するなどして、相手の気持ちをよくすることも手段のひとつでしょう。
本章のタイトルをわざわざ「下げて差し上げる」という敬語表現にしてみましたが、この敬いの気持ちが重要だと思っています。
また、そもそも返信しやすいフォーマット(仕様)で提供することも意識すべきです。
例えば、ホームページを新規で制作するため、クライアントである相手に必要な情報を聞き出すとします。
このとき、エクセル形式のヒアリングシートを雛形のままメールに添付し、本文で「添付のシートにご記入ください。」と記載するのみはNGです。
その場合、相手は
- メール開封
- 添付ファイルのダウンロード
- 表計算ソフトでのファイル展開
- 記入
- ファイル保存
- ファイルのメール添付
- メール本文の作成
- 送信
という多くの手順を踏まなければならず、とても返信しやすいメールとは言えません。
何より「適当な仕事をしている」という印象すら与えかねません。
ここはホスピタリティを意識し、どうしたら返信しやすくなるか、文面のみならず根本的な策として考えるべきです。
例えば、
- ヒアリング事項をメール本文にも記載する
- ヒアリング事項をより手短に書き換える
- 相手側の言語に合わせる(表記ゆれをなくす)
- 返答期限を明記する
- 回答理由を明記する
- 回答例を添える
- 既知の情報はこちら側で記入しておく
などです。
最後の「既知の情報はこちら側で記入しておく」については、相手への依頼する作業を「記入」から「内容確認」にすり替えることで、相手側の作業工数を減らし、返信しやすくする効果が期待できます。
ビジネスメールは、いま関わっているビジネスの最終目的を達成するための手段のひとつですから、必要な回答を最短で得るための意識は常に持つべきでしょう。
改善前 | 添付のシートにご記入ください。 |
改善後 |
下記項目について、8/31(火) 15時までにご回答ください。 01. お名前をご教示ください。 02. 生年月日をご教示ください。 03. 事業内容をご教示ください。 |
文字数は美しくゴリ削る
ちょっと奇をてらったタイトルですが、私の言いたいことが過不足なく表現されており、我ながら気に入っています。
今回、「美しく」と「ゴリ削る」をそれぞれ解説したいので、まず改善事例からご紹介します。
改善前 | 弊社の方で制作スケジュールを組ませていただきましたので、下記内容のご確認をお願いいたします。 |
改善後 | 下記の制作スケジュールをご確認ください。 |
「美しく」とは「より無駄なくシンプルであれ」ということです。
改善前の「弊社の方で」や「組ませていただきましたので」というのは、実は文面に起こさなくてもよい情報です。
今回の「制作スケジュール」はこちらから提示しているものですから「弊社」が組んでいることはわかりきった事実ですし、他にも「いただきましたので」「お願いいたします」など、敬語がくどい印象です。
くどいとは、一文に占める敬語の文字比率が多すぎるということです。
また、「ゴリ削る」とは「遠慮なく極端に削れ」ということです。
改善後は文字数が半分以下になっていますが、このくらいゴリゴリに削っていきましょう。
コツとしては、改善前の文章にとらわれすぎないことです。
「せかっく考えた文章だから、ここから大きく変えるのはもったいない」という先入観を捨て、「この文章、まったく別の言い方だとどうなるかな?」という目線で推敲すると美しくゴリ削る癖が身に付いてきます。
最後に
今回、ビジネスメールに関する技を14個も紹介してきましたが、実はまだあと10個くらいあります。笑
文字数も1万字をゆうに超えてしまったので、とりあえず今回はここまでとしましたが、もし需要が伸びるようでしたら、また続編として更新しようかと思います。
この記事を書いた人
旅田 康貴ディレクター / デザイナー / イラストレーター
デザインが一番苦手なデザイナーを目指しています。最近、名字が変わりました。